Arch Linuxインストール記(KDEを入れよう編)
前回のArch Linuxインストール記(GUI環境を整えよう編)の続きです。
Arch Linuxには好きなデスクトップ環境が選べます。私は今までGNOMEを使っていたのですが、今回は気分転換にKDEをインストールしてみます。公式ののインストール方法はCategory:Desktop environments (English) - ArchWikiを参考にしてください。他のデスクトップ環境についても載っています。
KDEについてはKDE - ArchWikiを参考にしましょう。
ところで皆さんはstartxコマンドでGUI環境をスタートさせたあとexitコマンドでGUI環境を正常に終了させることが出来るでしょうか?私は出来ません。相性が悪いのです。そんな状態でkdmを試した私は、画面真っ暗で起動できなくなって泣きました。確か、こう言う時の対処法がLinuxにあるはずですが、そこまで詳しくないし。仕方ないので、今回は「CUIでログインしてstartxでKDEを起動させる方法」の解説です。「なんてイレギュラーな」と思われるかもしれませんが、まぁイレギュラーな説明ほど価値があるじゃない?一般的な方法なんてそこら辺のサイトに書いてるじゃない?それに、自分で試しても無いのにGUIログインのやり方の解説を書いて説明が間違っていても問題ですし。
というわけでまずはKDEをインストールだ!
# pacman -Sy kde
Syオプションは「最新のソースリスト情報を取得しつつインストール」的な意味です。多分。
kdeグループのパッケージは数が多いのでインストールに時間がかかります。漫画でも読みながら気長に待ちましょう。
kdeを日本語化するためのランゲージパッケージもインストールしましょう。
# pacman -S kde-l10n-ja
さて、まだstartxをしてもkdeではなくxtermの方が起動してしまう状態です。最終的にstartxだけでkdeを起動させる状態に持っていきますので、とりあえずしばらくは以下のようなコマンドでkde環境を起動します。
$ startx /usr/bin/startkde
kdeが起動します。前回、GUI環境の基礎を整えたので、解像度などの表示には問題が無いはずです。とりあえずKDEの環境を日本語にしましょう。左下の「Kメニュー」から->「Computer(コンピュータ)」->「System Settings(KDEシステム設定)」を選びます。
「Regional & Language」を選び「Country/Region & Language(国と言語)」メニューの「Locale」タブの「Japanese」を選択しましょう。Japaneseがない場合は右下のAdd Languageから日本語を追加してみたりchangeと書かれているリンクから日本を選択したりしてみましょう。日本語が選択出来たら右下のApply(適用)ボタンを押します。Applyボタンがうまくいかない場合は選択メニューのUSをremoveボタンで取り除き、Japanese(日本語)のみにしてもう一度Applyボタンを押してみてください。一度、設定メニューを閉じ、もう一度Kメニューを覗いてみると日本語化がされています。「日本語フォントをインストールした覚えは無いのにどういう理屈だろう?」とか思ったりしましょう。
さて、メニューの日本語化が済んだら、まずはキーボードから日本語を入力出来るようにscim-anthyをインストールします(Smart Common Input Method platform - ArchWiki)。ちなみにKメニュー->アプリケーション->システム->ターミナルから、ターミナルが使えます。
# pacman -S scim-anthy
インストールしたらscimの設定を書きます。まずは/etc/profileファイルに
export XMODIFIERS=@im=SCIM export GTK_IM_MODULE="scim" export QT_IM_MODULE="scim"
と書きます。/etc/profileには既にいろいろと書かれていますが、書く場所はどこでも構いません。迷ったら一番下にでも書きましょう。/etc/profileは、ログイン時に自動的に行われる設定やプログラムが書かれている場所です。ここにこの記述を書くことで、(CUI)ログイン時に自動的に設定がエクスポートされます。
次に~/.scim/globalファイルを編集します。恐らく、scimをインストールするとこのファイルが自動的に作成された(?)と思います(ごめんなさい。多分作成されていません)。無ければ自分で作ってしまってください。
$ vi ~/.scim/global
中身は何も書かれていないはずです。一行目に以下の様に書き込みます。
/SupportedUnicodeLocales = en_US.UTF-8,ja_JP.UTF-8
この一行を書き込めば裏側での準備は完了。
パソコンを再起動してkdeを起動しましょう。まだscimは使える状態ではありませんが、設定はエクスポートされています。あとはscimを起動させるだけです。Kメニュー->アプリケーション->システム->ターミナルからターミナルを起動させてscim -dとコマンドを打ちましょう。
$ scim -d
scimデーモンが起動し、scimが使える状態になります。そのターミナルでCtrlキーを押しながらスペースキーを押しましょう。右下に日本語変換用のscimが出ます。「半角/全角キーからscimを起動する」などの細かい挙動はKメニュー -> アプリケーション -> 設定 -> SCIM入力メソッドの設定 から行いましょう。
scim -dの自動起動の方法は良く分かりませんでした。今のところ手でいちいち起動しています。誰か教えて。
次はUSBメモリを使えるようにします。恐らく現在はrootユーザーからkdeを起動するとUSBメモリが使え、一般ユーザーからkdeを起動するとUSBメモリをパソコンに差し込んでもエラーが出るという状態です。
これまたhalをいろいろ設定するようです。詳しい説明はHAL - ArchWikiを参考にしてください。
とりあえず説明通りrootユーザーでコマンドを打ちます。
# gpasswd -a username optical # gpasswd -a username storage
上記のusernameの所は自分の一般ユーザーの名前に置き換えて考えてください。例えば、一般ユーザーの名前がgarunimoなら
# gpasswd -a garunimo optical # gpasswd -a garunimo storage
とします。
次にhal設定ファイルをいじります。デフォルトの/etc/dbus-1/system.d/hal.confを特定のユーザーがUSBメモリを使える/etc/dbus-1/system.d/hal.confに書き換えます。
さて、普通はこれでUSBメモリが動くはずですがstartxで起動するイレギュラーな私たちはもうひとつ、~/.xinitrcをいじります。
$ vi ~/.xinitrc
もしファイルが無ければ作成してください。中身は多分何も書かれていない状態ですが、以下の様に書きます。
exec ck-launch-session startkde
最初はck-launch-sessionというパッケージでもインストールするのかなと思ったのですが、そんなパッケージがあるわけでもなく。でも、.xinitrcにこう書くとなぜかうまく動くという。ちなみにここに書いたstartkdeにより、次回からstartxだけでkdeが起動します。
最後は音です。音量にはALSAというパッケージを使うようですが、ALSA - ArchWikiに「ALSAは現在ではLinuxのカーネルにデフォルトで組み込まれています」と書かれています。つまり、インストールの必要は無く、これまたHALの設定のみ。
# gpasswd -a USERNAME audio
USERNAMEの所には一般ユーザーの名前を入れてください。今回は設定ファイルの編集も必要なく、これだけで音が出るようになるようです。パソコンを完全にシャットダウンしてもう一度起動して確かめてみてください。
さて、中には「エラーが出て音が出ない」と言う人もいるでしょう。私も音が出ませんでした。調べてみるとALSAの他に、もう一つ別の種類の音声ドライバOSS(OSS - ArchWiki)と言うものがあるそうです。説明によると「OSSの方がサポートするサウンドーカードの種類がALSAより豊富で、音の品質もALSAより良く……」と書かれています。じゃぁお前、なんでデフォルトにOSSを使わないんだ、とか思いながら設定していきます。
まず、/etc/rc.confのMODULES=()と言う部分に!soundcoreを追記します。(追記する前の/etc/rc.confを書き換えて!soundcoreを追記した/etc/rc.confにする)
これにより、LinuxカーネルのモジュールであるALSAを読み込むのをブロックします。ここで一度パソコンを再起動します。
再起動後KDEを起動すると「どうやらサウンドカードが取り除かれたと推測されるけど、KDEのハードウェア情報からサウンドカード情報を削除するかい?」みたいなことを聞いてきますが、私は何となくNO(削除しない)を選びました。
次にossのインストールです。
# pacman -S oss
インストールしたら/etc/rc.confのDAEMONSにossを追記します。(ossを追記した/etc/rc.conf)
これで再起動するとKDEが「どうやらサウンドカードが取り除かれたと推測されるけど、KDEのハードウェア情報からサウンドカード情報を削除するかい?」みたいなことをまた聞いてきやがります。「二度と聞いてくるなこの野郎(意訳)」にチェックを入れてNo(いいえ)ボタンを選んで構わないと思う。
これでALSAでは出なかった人も音が出るようになったはずです。おめでとう。
さて、解説は今回で終了です。「日本語フォント入れたいんですけどー」とか「firefox入れたいんですけどー」とか「flash入れたいんですけどー」って人はpacmanでインストールしたり他の人のサイトを参考にしてみてください。
#注意・上記は2009年8月22日現在の情報です。より正確な情報はArch Linuxの公式サイトを参照する事を強くお勧めします。