2.初心者にお勧めのLinuxディストリビューションは?
ナックス「さぁ、今回は初心者にお勧めのLinuxディストリビューションを教えるよ!」
デビー君「やったぁ!」
ナックス「オレ様の個人的な趣味全開でな。くっくっくっく……」
デビー君「え?何か言った?」
ナックス「何でもないよ。Linuxディストリビューションはメジャーなものだけでなく、個人が作っているものも含めると何百種類もあるといわれている。でも、今初心者にお勧めなLinuxと言えば、正直この2つだよね」
ナックス「今のLinux界隈でもっともブームになっているのがUbuntuだね。初心者にも使いやすく、3Dデスクトップなど、ユーザーを楽しませる仕掛けもいろいろとある」
ナックス「しかし!僕はむしろ初心者にはopenSUSEを使ってみてほしい。軽快さではUbuntuにやや軍配が上がるが、洗練されたデザインはUbuntuの上を行く。openSUSEはLinuxのライバルであるWindowsと提携関係にあるため、ライセンス上Linuxでは使えないフォントやソフトを使うことが出来る。これも初心者にとってはありがたい事だろう」
デビー君「へー。じゃあ、ナックスが勧めるならopenSUSE……」
ナックス「しかし!Ubuntuは今のブームでユーザー数が多いため、困っても検索サイトでググれば問題を解決するヒントがあることが多い。また、本屋さんでもUbuntuの解説本の数は圧倒的だ。初心者なら『検索すればどこかに解決方法が載っている』というのはディストリビューション選びには重要な要素だ。さらにUbuntuはLiveCDと言って、実際にインストールする前にUbuntuがどんな感じのLinuxなのか試しに使ってみることができる!Linuxとデビー君のパソコンの相性が悪い場合、Linuxがうまく動かない場合があるが、UbuntuのライブCDなら実際に使えるかどうかを初心者でも簡単に試すことが出来る!」
デビー君「えーっと、じゃあUbuntu……」
ナックス「しかし!UbuntuのMac風なデザインに対してopenSUSEのデザインはWindows風。Ubuntuではウィンドウズを使っていたデビー君にとって違和感があるだろう。確かにUbuntuに比べればそれほど有名でもないけど、Linuxという枠にとらわれず、むしろLinuxとWindowsのおいしい所取りが出来ているopenSUSEも捨てがたし!」
デビー君「わーっ!一体どっちを使えばいいんだ!?」
ナックス「僕の個人的な趣味でこの2つをお勧めしてみたけど、もちろん他にも初心者が使えるLinuxはたくさんある。『どのLinuxディストリビューションを使おっかなー?』と迷うのも、Linuxユーザーの楽しみの一つだ。ぜひこの二つに限らずたくさんのLinuxから自分のお気に入りのLinuxディストリビューションを見つけてほしい」
ナックス「さて、上記二つはデスクトップLinuxとしてのお勧めだ。ついでにサーバー用Linuxとしてのお勧めも教えておこう」
デビー君「サーバー用Linux?」
ナックス「デスクトップLinuxは日常的にパソコンを使う人用のLinuxだ。一方、サーバー用Linuxは、うーん……初心者の人には説明が難しいけど、プログラマーとか専門職の人が仕事に使う、ウィンドウズやマックとかとは見た目が全く異なる、あの良く映画やアニメでハッカーが黒い背景に白い文字で何やらカタカタと難しいコマンドを打って操作しているだろ?そういう環境で使うLinuxのことだ」
デビー君「ふーん。でも、初心者の僕もLinuxに慣れたらそういう事にも挑戦してみたいんだけど……」
ナックス「もちろんopenSUSEやUbuntuでもサーバー用Linuxと同じ事が出来る。逆に、サーバー用LinuxもデスクトップLinuxみたいな使い方ができる。デスクトップ用/サーバー用いずれにしてもLinuxはLinuxだからね。ただ、一番最初に用意されている環境がopenSUSEやUbuntuの場合、よりデスクトップLinuxとして使いやすい環境が整えられているんだ。実際に、今後の解説では黒い背景で白い文字でカタカタコマンド(CUI環境)の使い方を、デスクトップLinuxで教える予定だしね。だから、まだデスクトップLinuxとサーバーLinuxの違いが分からない初心者の人にはデスクトップLinuxに特化したLinuxを使うことをお勧めするよ」
デビー君「なるほど」
ナックス「さて、サーバー用のLinuxとしてお勧めなのは以下の二つだ」
ナックス「現在、サーバー用のLinuxとして主に業務で使われているのはCentOSが多いです。かつて日本では『LinuxといえばRed Hat Linuxだ』というほどRed Hat LinuxというLinuxが普及していました。その後、紆余曲折がありRed Hat Linuxは企業が主導する有料のLinux、Red Hat Enterprise Linuxとコミュニティ主導の無料のLinux、Fedoraに分離しました。しかし、ある一派が『あのRed Hat Enterprise Linuxと全く同じ環境のLinuxを作っちゃおうぜ!』と言って出来たのが、無料でサポートもないが有料のRed Hat Enterprise Linuxとほぼ同じ質を誇るCentOSです」
デビー君「へー」
ナックス「かつて、日本のLinuxの世界はRed Hat Linuxがほぼ独占していたので、その流れで、操作感がほぼ変わらないCentOSへと移行して、そのまま使われているLinuxサーバーが多いというわけです」
デビー君「なるほど」
ナックス「しかし!私はむしろサーバーLinuxとしてDebian GNU/Linuxをお勧めしたい!確かにCentOSの方が現在の多くの業務用のサーバーで使われていて、知識も蓄積されているだろう。だがDebian GNU/LinuxはRed Hat Linuxよりも歴史は古く多くの知識が蓄積されている。また、Debianには安定版、不安定版、テスト版の三つのバージョンがあり、不安定版でのテスト、テスト版でのテストを経て、『完全に大丈夫』と判断されたソフトウェアだけが『安定版』に導入される。また、セキュリティに関するモノはもちろん適宜『安定版』にも導入される。さらに、Debianのテスト版はDebian GNUのコミュニティだけによる調査だけで無く、テスト版を元にデスクトップLinuxを作っているUbuntuからも適宜フィードバックを受けている。つまり、『有料のLinuxという質を模倣したCentOS』に対して、何重にも安全防衛ラインを設置しているのが、Debian GNU/Linuxの安定版といわれるバージョンだ。サーバーといえば安全性・安定性がもっとも重視されるべきであることは言うまでもないが、それを完璧に実現しているLinuxがDebian GNU/Linuxというわけだ!」
デビー君「おー。なんか熱く語ってるなぁ……」
ナックス「はいはい。じゃぁ今回はこんな所で。さて次回。『LinuxをダウンロードしてCDに入れてインストールCDを作ったんだけど、そのCDを入れてパソコンを起動してもうまくLinuxが起動しないんじゃボケこらー!(LinuxをCD(DVD)から起動しようとしても起動しない場合の対処法)』を教えます」